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車をこすってしまったとき、保険を使うべきかどうかは、比べるものがはっきりしています。今回の修理代と、保険を使ったせいで増える3年分ほどの保険料。この2つを並べて、安いほうを選ぶだけです。等級が下がる仕組みと分かれ目の目安をご説明しますが、判断に必要な数字は、契約中の保険会社に電話一本で出してもらえます。
ぶつけた直後なら、まず警察への連絡を
損得の話の前に、ひとつだけ。相手の車やガードレール、電柱、お店の壁にぶつけたときはもちろん、自宅の車庫や塀で自分の車だけをこすった場合(自損事故)も、警察への報告が必要です。道路交通法第72条で、運転者の義務と決められています。けががなくても同じです。
警察に届け出ておくと、後日「交通事故証明書」(自動車安全運転センターに申請して受け取る書類)を発行してもらえます。これがないと、あとで保険を使いたくなったときに手続きが進まないことがあります。気が動転していると思いますが、順番としては警察が先です。
- 安全な場所に車を止めて、けがの有無を確かめる
- 相手や物に被害があれば警察へ連絡する(けががなくても必要)
- 保険会社の事故受付にも連絡しておく
保険会社に事故を連絡した時点では、まだ保険を使うと決めたことにはなりません。まず報告して、使うかどうかは後から相談できます。
結論:修理代と「3年分の保険料の増え方」を比べます
自動車保険を使うと、翌年の契約から等級(とうきゅう)が下がります。等級は保険料の割引率を決める番号で、下がればその分だけ保険料が上がります。
影響が出るのは翌年の1年だけではありません。こすった傷を車両保険で直す場合、一般的には3年ほど尾を引きます。ですから、比べるのはこの2つになります。
- 今回の修理代(保険を使う場合は、免責金額を引いた受け取り額で考えます)
- 保険を使ったせいで増える保険料の合計(3年分ほど)
増える保険料のほうが大きければ自腹で直すほうが安く、修理代のほうが大きければ保険を使うほうが安く済みます。
免責金額(めんせききんがく)=車両保険を使うときの自己負担額です。5万円や10万円で設定している契約が多く、たとえば修理代15万円・免責5万円なら、保険から受け取れるのは10万円で、5万円は自分で払います。保険証券に「免責金額」「自己負担額」として書かれています。
保険を使うと等級はどうなる? 3つの区分
「保険を使う=必ず3等級下がる」わけではありません。損害保険各社の説明では、事故は下がり方によって次の3つに分かれます。
| 区分 | 翌年の等級 | 代表的な例 |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 3つ下がる | 相手の車・ガードレール・電柱・建物にぶつけた(対物賠償)/車両保険で自分の車を直した |
| 1等級ダウン事故 | 1つ下がる | 盗難、いたずら・落書き、飛び石、台風・洪水など(車両保険を使った場合) |
| ノーカウント事故 | 下がらない(1つ上がる) | 人身傷害保険・搭乗者傷害保険・個人賠償責任特約・弁護士費用特約などだけを使った場合 |
※ 人身傷害保険・搭乗者傷害保険は、乗っていた人のけがに備える保険。個人賠償責任特約は日常生活での賠償、弁護士費用特約はもめごとの弁護士費用が出る特約です。
こすった傷を車両保険で直すときは、いちばん上の3等級ダウン事故にあたるのが一般的です。ただし細かい扱いは保険会社や契約で違うことがあるので、実際の区分はご自身の保険会社にご確認ください。

買取くん「等級が下がる」と聞くと翌年だけの話に思えますが、実は3年ほど続きます。ここが判断のカギですよ。
3年ほど続く「事故有係数適用期間」のこと
耳慣れない言葉ですが、損得を考えるうえで外せないので簡単に。事故有係数適用期間(じこありけいすうてきようきかん)とは、「事故を起こした人向けの、割引が少ないほうの料率が使われる期間」のことです。
等級には同じ番号でも「無事故」と「事故有」の2つの割引率があり、保険を使うと数年間は「事故有」のほうが適用されます。各社の説明によると、3等級ダウン事故なら3年、1等級ダウン事故なら1年が加算されます(上限は6年)。
1回保険を使うと、等級が3つ下がることに加えて、3年間は割引の少ない料率になります。翌年の増加分だけを見て決めると負担を小さく見積もってしまうのは、このためです。
この期間は1年ごとに1年ずつ減っていき、その間に事故がなければ等級も毎年1つずつ戻ります。ずっと続くわけではないので、そこはご安心ください。
損得の分かれ目のめやす(金額はあくまで目安)
よく言われる目安は「修理代がおおむね10万〜20万円くらいまでなら、自分で払ったほうが安く済むことが多い」というものです。修理工場や保険の解説サイトでも、このあたりの金額がよく挙がります。
ただ、これは出発点にすぎません。今の等級、年齢、車種、いま払っている保険料の水準で、3年分の増加額は大きく変わります。同じ修理代10万円でも、保険料の高い契約なら使ったほうが得になることもあれば、その逆もあります。一概には言えない、というのが正直なところです。
| 修理代の目安 | 考え方(あくまで一般的な傾向) |
|---|---|
| 数万円程度 | 免責金額を引くと受け取りが少なく、自分で払うほうが安く済むことが多い |
| 10万〜20万円くらい | いちばん迷うところ。保険会社に試算を頼んで比べる価値が大きい |
| 20万円を超える | 3年分の保険料の増加を上回りやすく、保険を使う判断になりやすい |
| 相手のけが・高額な賠償 | 金額の比較で考えず、迷わず保険を使う場面 |


相手にけがをさせてしまったときや、修理代が数十万円になりそうなときは、保険料の増加を気にして自腹で抱え込むほうが危険です。保険はこういうときのために毎年払っているもの。ためらわずに使ってください。
なお、更新が近い方は、この機会にほかの保険会社の保険料も見ておくと判断材料が増えます。同じ補償内容でも、会社によって金額に差が出ることがあります。
迷ったら、保険会社に「試算」を頼めます
保険を使った場合と使わなかった場合で翌年からの保険料がどう変わるか、契約中の保険会社が計算して教えてくれます。事故の連絡をしたときに「試算してほしい」と頼めば出してもらえるのですが、これをご存じない方がとても多いのです。
自分の等級や割引率を調べて計算するのは骨が折れますし、保険料の決め方は会社ごとに違います。ひとりで悩むより、聞いてしまうほうが早くて確実です。
ディーラーや修理工場で、直すのにいくらかかるかを出してもらいます。あわせて保険証券で免責金額(自己負担額)も確かめておくと、受け取れる金額がはっきりします。
電話で「今回の事故で保険を使った場合と、使わなかった場合の、来年からの保険料を教えてください」と伝えます。3年分をまとめて教えてもらえると比べやすくなります。
増える保険料の合計と、修理代(免責金額を引いた受け取り額)を並べます。金額が近いときは、手元の余裕やこれからの乗り方も含めて決めて構いません。
なお、事故を報告したあとでも、支払い前なら請求を取り下げられるのが通例です。迷っている段階なら「まだ決めていません」と正直に伝えて相談してください。
更新が近いなら、他社の保険料も見ておく
保険を使うと決めたなら、翌年から保険料は上がります。ここで誤解しやすいのが、他社に乗り換えれば事故がなかったことになる、という思い込みです。等級も事故有係数適用期間も、一般的にはそのまま引き継がれます(一部の共済など、扱いが異なる場合もあります)。
それでも、同じ等級・同じ補償で保険料は会社によって差が出ます。更新の時期が近いなら、上がった金額をそのまま受け入れる前に、他社ならいくらになるかを見ておくと納得して決められます。
1社ずつ問い合わせるのは手間ですが、一括見積もりサービスの「保険スクエアbang!」なら、一度の入力で複数の保険会社の見積もりを無料でまとめて請求できます。今の契約と並べて、年間でいくら違うのかを確かめてみてください。
見積もりの進め方に不安がある方は、自動車保険の一括見積もりの手順をまとめた記事もあわせてご覧ください。用意するもの(保険証券・車検証・免許証)と入力の流れを、画面の順番どおりにご案内しています。
よくある質問
- 保険を使うと、保険料はどのくらい上がりますか?
-
今の等級・年齢・車種・補償内容によって変わるため、一律の金額はありません。3等級ダウン事故では、等級が3つ下がることに加えて3年ほど「事故有」の割引率が適用されるため、翌年だけでなく数年にわたって影響します。金額を知る確実な方法は、契約中の保険会社に「使った場合と使わなかった場合」の試算を出してもらうことです。
- 等級が下がるのは事故のあとすぐですか?
-
下がるのは、保険を使った翌年の契約(次の更新)からです。今の契約期間の途中で保険料が上がることは通常ありません。ただし更新日と事故の時期の関係で反映のタイミングが変わることもあるので、詳しくは保険会社にご確認ください。
- 相手がいる事故でも、自腹で直すことはできますか?
-
相手の車の修理費を自分で払うという選択自体はできますが、慎重に判断してください。あとから追加の請求が出たり、けがが判明したりすると、示談を自分で進めることになり負担が重くなります。相手のいる事故は、警察と保険会社の両方に連絡したうえで相談するのが安心です。
- 保険を使うと伝えた後で、やめることはできますか?
-
保険金が支払われる前なら、請求の取り下げに応じてもらえるのが通例です。支払い後でも、一定の条件のもとで取り下げを受け付けている会社もあります。取り下げが認められれば等級への影響もなくなりますが、条件や期限は会社ごとに異なるため、早めに事故の担当者へ相談してください。
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※本記事の費用・査定額はあくまで目安(概算)です。実際の金額は車両の状態・時期・地域・店舗によって変わります。正確な金額は必ず各サービスの見積もり・査定でご確認ください。







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